コロナ禍で出だしは少し遅いけど、ここ二週間ほど夏の風物詩的な写真の引き合いが凄い。もちろんこの季節にホタルの写真と言われても間に合わないので、我々写真家はそれを想定して前の年に素材を撮影している。

夏の風物詩なんてものは写真で見るのは綺麗で最高だが、撮影裏には困難が付きまとう。例えばアサガオはピーカンより少しウェットな表情を撮りたい。でも大雨じゃダメ。花火は大小ある花火大会などをめぐり、夜空という写真にとって最も悪条件の中の撮影になる。ホタルは更に大変。自然の生き物が相手。キレイに飛ぶ姿は想像だけの世界。現実は、行ってみないと分からぬ場所へ何時間もかけて移動することになる。自然への配慮を忘れず、人知れぬ山奥へと進む。ホタルがたくさん飛ぶという事は、蚊やアブ、ブヨに得体の知れない生物もたくさんいるという事。高温多湿の場所で肌を見せてはいけない。頭から蚊帳を被り、汗だくの中厚手のウェアを見に纏い、ブーツやグローブも必須。ホタル以外の虫にだけ効果を発揮する虫除けスプレーなど存在するわけも無く、もちろん虫除けスプレーは禁止。最寄りのコンビニやトイレまでは最低一時間ほどかかる。それでも暗くなってからでは自分のカメラすら目視出来ない山奥。昼間からロケハンとセッティングが必要。などなど。

ネガティブな文章になってしまったが、それほどの覚悟が必要という事。では何故そこまでして撮影に行くのか?それは現場に行った者にしか体験できない素晴らしい世界が広がっているから。もう夏はそこまで来てる。

そう、全部 夏のせい。